2章1節


学校選択制



・広がる学校選択制

 東京都内の公立小中学校では学校選択制が広がりを見せている。学区外の小中学校への進学を選べる「学校選択制」は、00年度に品川区が小学校で導入して以来、毎年実施する自治体が増えている。特に、区部の中学校では、14区と多い。全てが同様の方式ではなく、@区内全域から選ぶ、A区内をブロックに分けてその中から選択する、B隣接学区域から選ぶ、といった違いがある。以下に、03年度6月時点での、東京都内における学校選択制の実施状況を表で示す。

学校選択制の実施状況(都の資料より)
自治体名 学校 実施形態 開始年度
品川区 区内を4ブロックに 01年度

区内全域 00年度
豊島区 小中 隣接校 01年度
日野市 市内を8ブロックに 01年度

市内を4ブロックに 01年度
足立区 小中 区内全域 02年度
江東区 小中 区内全域 02年度
杉並区 小中 隣接校 02年度
墨田区 区内全域 03年度

区内全域 02年度
荒川区 区内全域 03年度

区内全域 02年度
千代田区 区内全域 03年度
港区 隣接学区域 03年度

区内全域 03年度
文京区 区内全域 03年度
台東区 区内全域 03年度
目黒区 隣接学区域 03年度
葛飾区 区内全域 03年度
江戸川区 区内全域 03年度
多摩市 小中 市内全域 03年度
西東京市 小中 市内全域 03年度

 学校間に競争原理が働くことは、私はいいことだと思う。例えば、ここにあげたのは都内の学校だが、東京都内には受験に強い私立という存在がある。私立の中高一貫校を抜きにして、公立だけの話をするならば、競争原理の悪い面はどこどこという話ができるが、一方で、どの公立学校を選ぶかという選択肢の前に、すでに私立という選択肢を持っている一群の人たちが約2割いる訳である。

 品川がなぜ学校選択制を率先して導入したかと言えば、東京では私立の存在感のほうが圧倒的に強く、公立側に危機感があったからである。選択制により、学校が独自性を高めて行けば、学力の低い子どもへの対策が充実している学校、基礎学力についてはしっかりと身に付けますという学校が現れ、そこに生徒が集まるということもある。もし、学校間同士の競争が度を超えたものになれば、住民が止めればいいのである。「私立のような公立」ではなく、公立ならではの特色を備えた学校を生む可能性が、学校選択制にはある。


Top