+個人研究+ |
働くことは、大半の人にとって人生の大部分を占め、生きていくうえで欠かせない。
まずこの点で労働政策を考えることに意義を感じた。
また、家族形態の変化や人口構造、経済状況、福祉政策の変更に伴って、または個々人の価値観の多様化によって、
人々の働き方や働くことに対する意識が大きく変化した。そしてその現実を追うように法改正等が行われてきた。
しかし未だ実態に対して解決が不十分な問題や、現実の後追いではなしに政策が戦略的にリードすべき事も多いの
ではないかと思い、これについて考察することにした。
中長期的な視点でこれからの日本社会にとって好ましい働き方を推進する政策を提案したい。
ここで取上げる問題の主たるものは、労働時間の長短二極化、性別による雇用差別、非正規雇用の待遇格差である。
これらの解決によって、”ワーク・ライフ・シナジー”、つまり仕事と私生活の相乗効果を図れる制度設計を目指したい。
まず第1章では、現在の労働政策とその課題を明らかにしたい。
第2章では、長時間労働を動機付ける様々な原因を探し出し、解決を試みる。
長い労働時間が有利なシステムのままでは、ジェンダーでの雇用格差を固定化させたり、短時間労働選択の
回避の一因にもなる。そこで長時間労働の改善のための「労働時間貯蓄口座制度の導入」の検討や「日本型ワークシェアリング」の可能性、
「長期休暇の導入」について考察していきたい。例えば、日本は多くの場合職務給でないため、職務が曖昧で、仕事に境界線を引くことが
難しいと言われる。しかし、ジョブ・ローテーションを繰り返し、様々な業務を行える人材がいるということは、同じ職務をする人の
グルーピングは難しくても、ワークシェアをしたり、産休や介護休暇、長期休暇をとる人のカバーができる人材が潜在的には多い
ということではないだろうか。
第3章では、3割を超える非正規雇用者に関して、待遇是正や社会保障制度の再設計の必要性について述べ、相応しい制度の検討をしたい。
また、性別による雇用差別、例えば既婚女性のパートタイム選択の強制等、正規・非正規問わずキャリアパスの偏りについて述べ、
今後の雇用形態や雇用保険のあり方について考察する。ここではオランダのパートタイム社会や北欧諸国の雇用政策について先行事例として
研究し、参考にしたい。
第4章では政策の実現性も考え、企業の視点から、企業にとってのメリットについて触れ、第5章でこれらを総括したい。
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Last update:2009/10/27
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