早稲田大学社会科学部 政策科学研究 上沼ゼミナール 荻嶋 景 Ogishima Kei Copyright (C) 2007−2009All rights reserved. |
食料自給率四割の日本の政策を考える
昨今テレビや新聞などで自給率向上の喫緊性が報じられている。国も平成17年に食料農業農村基本計画を刷新するなど様々な政策を打ち出し、自給率の向上を訴えている。私も研究テーマに決めたときは自給率は上げなければならない、という考えのもと進めるつもりでいた。しかし研究を進めていくうちに私の考え方は変わっていった。研究の途中で食品業界に内定が決まったことも影響しているかもしれない。そのため私の研究は途中で方向を変えていて、見ていてわかり辛いかもしれないが、そこはご容赦願いたい。
農林水産省は、食料自給率を「国内の食料消費が、国内の農業生産でどの程度賄えているかを示す指標」と定義している。『食料需給表』には、「品目別自給率」、「穀物自給率」、「供給熱量総合食料自給率(以下「熱量ベース総合自給率」という。)」、「金額(生産額)ベースの総合食料自給率(以下「金額ベース総合自給率」という。)」の毎年度の数値が掲載される。「食料・農業・農村基本計画」には、各々の自給率の目標が設定されている。
品目別自給率は、品目ごとの自給の度合いを、穀物自給率は、基礎的な食料である穀物全体の自給の度合いを示したものである。これらは重量ベースで算出される。熱量ベース総合自給率及び金額ベース総合自給率は、全ての食料についての総合的な自給の度合い(総合食料自給率)を示したものである。多種多様の品目を総合的に扱うには、重量をベースに算出するのは適切でないため、算出のベースとして、食料の熱量(
エネルギーのこと。単位はカロリー)と金額とが採用された。
(食糧自給率の計算方法は下の表を参照)
食料自給率の推移
昭和35年度と平成16年度(概算値)とを比較すると、穀物自給率(主食用のほか飼料用を含む。)は82%から
28%へ、主食用のみの穀物自給率は89%から60%へ、熱量ベース総合自給率は79%から40%へ、金額ベース総合自給率は93%から70%へと低下している)。図2穀物自給率、総合自給率の推移(%)
020406080100S354555H212金額ベース総合自給率主食用穀物自給率熱量ベース総合自給率穀物自給率(飼料用含) (出典)『平成 16年度
食料需給表』より作成。熱量ベース総合自給率については、推移をもう少し詳しくみておく。この数値は、昭和35年度から昭和 4
8年度の間に79%から55%まで低下し、以後昭和60年度まで50%強の横ばいで推移した。昭和61年度に51%となってから再び低下を始め、平成10年度に40%となり、以降は、平成16年度まで40%で横ばいを続けている。
品目別自給率=各品目の国内生産量÷各品目の国内消費量×100・国内消費使向量 穀物自給率=穀物の国内生産量÷穀物の国内消費量×100 熱量ベース総合自給率=国民一人当たり国産熱量÷国民一人当たり供給熱量×100 国民1人1日あたりの、 金額ベース総合自給率=食糧の国内生産額÷食糧の国内消費仕向額 ×100
参考資料:ISSUE BRIEF食料自給率問題 ―数値向上に向けた施策と課題― 国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 546(JUN.15.2006) |
・農業の衰退…@昭和60年代から耕地面積、作付け延べ面積の減少、担い手の高齢化が進む。A国産品が外食内食のニーズに対応できず。B食料消費の拡大と消費の品目構成の変化に対し、国産生産では対応できなかった品目を中心に輸入が拡大した。C現在の国内の重要に見合う飼料作物や原料農産物などの生産に必要な農地の確保は事実上困難。(必要な耕地面積は現在の約2.6倍)
・昭和36年の農業基本法から30年が経過した平成3年以降、農基法の見直しを含めた検討の必要性が唱えられる。平成9年4月に委員会は総理大臣の諮問を受け食料、農村政策のあり方の検討を開始。同年12月の中間とりまとめでは、食料自給率を政策目標とすべきであると言う意見と、すべきではないという意見の賛否両論が併記され、引き続き検討が加えられる。
・国民の必要とする食料を安定的に確保するため、農業生産を食料供給の基本に位置づけ、可能な限りその維持拡大を図っていく。関係者の努力喚起ならびに政策指針として食料自給率の目標を設定し、その達成に向け取り組みを行う。
・前基本計画に基づいた施策の効果についての評価。
・農業者や地域の創意工夫を活かした取組を後押しをする観点に立ち、今後重点的に取り組むべき課題や施策を明らかにする。
概要
1.国内農家300万戸すべてを支援・・・
方策1:規模拡大による効率化・安定化
−小規模農家を含めた集落営農の促進による安定的な農業経営、食糧の安定供給を図る。
−農地・水・環境の保全対策や耕作放棄地の解消に努め、地域活性化と担い手の規模拡大を図る。
方策2:品目ごとの経営支援
2.輸出の振興
‐米の中国輸出、牛肉の香港輸出などで平成25年までに農水産物輸出額の1兆円規模拡大を目指す。
概要
1.国内すべての販売農家を支援・・・
方策:所得保障制度の拡充による農家支援
−生産費と市場価格の差額を支払う個別所得補償制度を創設。
−休耕田を活用し小麦や大豆などへの転作を促し、食糧自給率を60%に向上,最終目標は100%。
−財源約1兆円は一般事業費やなど公共事業費の削減などから拠出。
2.所得保障制度導入と市場自由化・・・
−自由貿易協定(FTA)締結の促進と、農作物の国内生産の維持、拡大を両立
―自民党の政策について―
1.「集落営農の法人化」について・・・
集落営農が法人化する場合には、「農事組合法人」と「会社法人」の2つのタイプがあり、法人化した集落営農が農地の権利を取得するには、「農業生産法人」になる必要がある。法人化の形態には、家族経営を法人化する場合と集落全体を法人化する場合が考えられる。前者の場合は株式会社の形態をとるのが一般的であり、後者の場合は状況に応じて農事組合法人か会社法人の形態をとる。
― 疑問―
・規模拡大意欲のある農家がどのくらいいるのか
・集落営農の必要性を感じても、いざ具体的に進めるにあたって、担い手の確保や集落内の調整は困難なのではないか。
・集落営農と個別認定業者の棲み分けの問題
※認定農業者制度とは、自ら経営改善に取り組むやる気と能力のある農業者が、「農業のスペシャリスト」をめざす計画である「農業経営改善計画」を作成し、その計画を市町村が認定する制度。認定農業者になると、予算、金融、税制など多岐にわたる経営改善のための国の支援措置の対象となる。農業経営を営む法人であれば、農業生産法人であるなしに関わらず農業経営改善計画の認定の対象となるため、農業に参入した企業等も認定農業者になることができる。
・ただし、農地・水・環境の保全は非常時の速やかな耕作地の確保という、食糧安全保障の観点からも非常に重要な政策と考えられる。
2.輸出の振興について・・・
輸出の振興と自給率の向上は両立し得るのか。また自民党の政策は現在WTOのドーハラウンドで協議されている世界的な貿易自由化に対しての政策が明確に打ち出させていない。
―民主党の政策について―
1.個別所得保障制度・・・
かつての食糧管理法の復活であり、典型的なばら撒き政策なのでは。最近問題になった自民党の給付金の一律給付案と本質的に変わらないのでは。
2.最終目標自給率100%・・・
これは国土的な問題からも外交的な問題からも不可能なのでは。また自由貿易を促進しながらの自給率の向上は大きなジレンマが生じる。100%と言えば聞こえはいいが、政権奪取を本気で狙っている政党ならば、このような夢物語的な政策を安易に打ち出すべきではない。
ただし自由貿易促進と生産補助金を組み合わせるという点は世界の貿易自由化への態度が明確で納得がいく。
しかし、自民党も民主党も、輸入と自給をどのように組み合わせ食の供給を図っていくのか、ということについてが全く不明瞭であると感じた。
食糧安全保障―食料は人間の生命の維持に欠くことができないものであるだけでなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものです。したがって、国民に対して、食料の安定供給を確保することは、国の基本的な責務です。 食料の多くを輸入に頼っている日本では、国内外の様々な要因によって食料供給の混乱が生じる可能性があり、食料の安定供給に対する国民の不安も高まっています。しかし、そういった予想できない事態が起こった際にも食料供給が影響を受けずに確保できるように準備しておかなくてはなりません。 食料安全保障とは、このように予想できない要因によって食料の供給が影響を受けるような合のために、食料供給を確保するための対策や、その機動的な発動のあり方を検討し、いざというときのために日ごろから準備をしておくことです(農水省抜粋)―
地産地消―地域で生産されたものをその地域で消費することです。国の基本計画では、地域で生産されたものを地域で消費するだけでなく、地域で生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結び付ける取組であり、これにより、消費者が、生産者と『顔が見え、話ができる』関係で地域の農産物・食品を購入する機会を提供するとともに、地域の農業と関連産業の活性化を図ることと位置付けています。 産地から消費するまでの距離は、輸送コストや鮮度、地場農産物としてアピールする商品力、子どもが農業や農産物に親近感を感じる教育力、さらには地域内の物質循環といった観点から見て、近ければ近いほど有利です。 また、消費者と産地の物理的距離の短さは、両者の心理的な距離の短さにもなり、対面コミュニケーション効果もあって消費者の「地場農産物」への愛着心や安心感が深まります。 それが地場農産物の消費を拡大し、ひいては地元の農業を応援することになります。さらに高齢者を含めて地元農業者の営農意欲を高めさせ、農地の荒廃や捨て作りを防ぐことにもなります。 結局、地場農業を活性化させ、日本型食生活や食文化が守られ、食料自給率を高めることになります。 しかし、生産地で消費する距離が短いということだけではなく、距離に関係なく、コミュニケーションを伴う農産物の行き来を地産地消ととらえることも可能です。また、地産地消は、地域で自発的に盛り上がりをみせてきた活動で、教育や文化の面も含んだ多様な側面を有しており、固定的、画一的なものではなく、柔軟性・多様性をもった地域の創意工夫を活かしたものとなることが必要であります。 地産地消の主な取組としては、直売所や量販店での地場農産物の販売、学校給食、福祉施設、観光施設、外食・中食、加工関係での地場農産物の利用などが挙げられます。(農水省抜粋)―
これについては色々と言いたい事がある。
まず第一にこの説明を読むと、もともと農地の少ない都心への方策が全く講じられていない。「産地から消費までの距離は近ければ近いほど有利」とあるが、では産地から遠い都心は地産地消の対象外なのか。「距離に関係なく、コミュニケーション〜地産地消と捉えることも可能」とあるが、これは解釈を拡大した言い訳にしか思えない。自給率向上に付与するのは供給の方法ではなく、量である。結局大量消費地の都心を効能外にする政策では自給率の向上にはつながらない。
第二に、現在の国内の食を支えている産業はどうなってしまうのか、という問題である。私は本学を卒業した後、食品メーカーに勤めるのだが、残念なことに全国規模の地産地消と全国規模の食品産業の繁栄は両立し得ない。食品産業の衰退が及ぼす経済効果は他の国内産業にも相当のダメージを与えるものと思われる。
第三に、「地産地消を行えば日本型の食生活が守られ、自給率があがる。」の論理関係が曖昧である。確かに郷土料理などは、その地域特有の食材を使わねばならない。だが1980年代から日本が世界に向けて声高に主張していた、体によいとされる「日本型食生活」とはどこで作られたものを食べるか、ではなくどう食べるか、が重要な点であった。つまり使用する食材は必ずしも国産でなければ成り立たないわけではない。すなわち、自給率向上ともなんの論理関係も見出せない。
歴史 近年、セブン&アイの農業参入など企業参入がマスコミに大きく取り上げられるようになったわけだが、平成15年4月から構造改革特区制度が実施される前から企業の農業参入は昔からあったらしい。
そもそも戦前は、農地の所有に制限はなかった。企業が農地を買い占めることや、銀行が農地を担保に融資を行うこともあった。しかし戦後の農地改革および農地法の制定により、企業の農地の保有は禁止された。これにより企業は農地の売買をできなくなったわけだが、非農地を買取り、農地に開墾すること可能であったし、カゴメ、キリンビール、外食チェーンなど契約栽培という形で、農業経営に参画する企業も見られた。
しかし平成15年に施行された構造改革特区制度により、「農業生産法人以外の法人に対する農地の貸付けを可能とする農地法の特例措置」が講じられ、この措置を活用して農業を行う企業が増えた。
参入方式
1.農業生産法人:生産法人資格の取得によって農地の所有や貸借を通じた土地利用型の参入方式。
2.非農地参入:農地法上の非農地を買い取り開墾する。この場合は法人形態や出資比率の制約はないため、企業の参入障壁が低い。
3.農地リース:03年に始まった構造改革特区が前身。05年9月の農業経営基盤強化促進法の改正を受けて全国展開された制度。この制度は,企業は生産法人資格を取得せずに,農地を賃借し,土地利用型農業に参入する方式。ただし所有は認められてはおらず、また参入できる土地は、各市町村が「遊休農地,又は遊休化しそうな農地が見込まれる地域」と認定した地域に限定されるほか、参入に際しては市町村の仲介で農地斡旋を受け、また地域と協力して適正に農業を行う旨の協定を結ぶ必要がある。
4.農作業受託:農業生産を行わず,農業者から農作業を受託し作業料金を得る事業。企業の参入も多い。企業の参入は,地域農業の要請に応じる形で,建設業,輸送業,農機具リース業を母体とするものが多い。
業種
土木建築、NPO法人、酒類醸造、食品加工、社会福祉法人、スーパー、観光業等。
目的、利点
社内雇用確保、町特産物の原料安定供給、農作業体験等の観光事業、ブランド力強化、地域の雇用拡大等の地域貢献、自社製品の原料確保、耕作放棄地の有効活用。
地域の参入支援活動・・・
企業向け研修会の開催、奨励金・補助金制度、農業体験ツアー、産官学による共同研究システムの構築
課題点
・農営開始からまもなく企業が撤退してしまい、農地が再び遊休地化してしまう事例も見られる。
・企業の参入に懐疑的な地域もあり、地域間のバラつきがみられる。
・大企業は地域社会の農業の論理を十分理解し内部化することが出来ないと参入は困難。
では最後に私が今後関わりうる、より良い食糧供給の形、また消費の形とは一体どんなものかについて考えを述べたい。
私はこの二つの問題の解決の鍵を握っているのは「食育」であると思う(上沼先生はこの概念に懐疑的ではあるが)。
2005年に施行された「食育基本法」は、現在の食にかかわる諸問題解決のための世界初の法律である。
なぜ私が食育に注目したかというと、それまで食に関する諸問題についてあやふやだった「消費者の責任」が明文化されたこと、またわたしが研究を進めていく中で感じた「何を食べるかではなく、どう食べるか。」についての指針を与えてくれるものになる気がしたからである。ここでいう「どう食べるか」とは、どのように調理しどのような組み合わせで食べるのかということは勿論、誰と食べるのか、どこで食べるのかということも含まれる。
食育とは・・・
―近年の我が国の食をめぐる状況の変化に伴う様々な問題に対処していくため、平成17年6月、「食育」に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来にわたる健康で文化的な国民の生活と豊かで活力のある社会の実現に寄与すること等を目的として、食育基本法が公布された。食育基本法では、食育は、生きる上での基本であって、教育の三本の柱である知育、徳育、体育の基礎となるべきものと位置づけられるとともに、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるものとして食育の推進が求められるとされている。そして、食育に関する基本理念として、食育は、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成に資することを旨とするものとされ、単なる食生活の改善にとどまらず、食に関する感謝の念と理解を深めることや、伝統のある優れた食文化の継承、地域の特性を生かした食生活に配慮すること等が求められている。(農水省)―
2.食に関する感謝の念と理解
近年、国民の食の大切さに対する認識が薄まっている。日常生活において食料が豊富に存在することを当たり前のように受け止め、食べ残しや食品の廃棄を大量に発生させている現状がある。食育の推進に当たっては、心身の健康に直接関わる知識等を身に付けるだけではなく、様々な体験活動等を通じて自然に国民の食に関する感謝の念や理解が深まっていくよう配慮した施策を講じる。
3.食育推進運動の展開
個人の食生活は、その自由な判断と選択に委ねられるべきものであり、国民が自らの意思で食育に取り組むことが重要。国民一人一人が食育の意義や必要性等を理解し、これに共感するとともに、国や地方公共団体のみならず関係者が食をめぐる問題意識を共有しつつ、家庭、学校、保育所、地域等社会の様々な分野において食育の推進がなされることが重要。このような観点から、多様な主体の参加と連携・協力に立脚した国民運動として推進することを目指した施策を講じる。
4.子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割
健全な食生活は健康で豊かな人間性の基礎をなすものであり、特に、子どもの頃に身に付いた食習慣を大人になって改めることは困難であることを考えると、子どもの食育が重要。しかしながら、朝食の欠食や、「孤食」や「個食」等も見受けられることから、社会全体で働き方の見直しを進めることに加え、父母その他の保護者や教育、保育等に携わる関係者の意識の向上を図り、家庭や教育、保育等の場が果たすべき重要な役割についての自覚を促すとともに、相互の密接な連携の下、子どもが楽しく食について学ぶことができる取組が積極的に推進されるよう施策を講じる。
5.食に関する体験活動と食育推進活動の実践
食育の推進に当たっては、家庭、学校、保育所、地域等社会の様々な分野において、教育関係者、農林漁業者、食品関連事業者等多様な主体により、国民が食の多面的な姿を学ぶ機会が提供され、多くの国民が、食料の生産から消費等に至るまでの食に関する体験活動に参加するとともに、意欲的に食育の推進のための活動を実践できるよう施策を講じる。
6.伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農山漁村の活性化と食料自給率の
向上への貢献
食は、心身の健康の増進に欠かせないものであるが、その一方で多彩な食文化や食生活を生み
出す源であり、我が国の文化の発展にも寄与してきた。食をめぐる問題は、健全な食生活の実践と
いう域にとどまらず、人々の精神的な豊かさや生き生きとした暮らしと密接な関係を有しており、
先人によって培われてきた多様な食文化を後世に伝えつつ、時代に応じた優れた食文化や豊かな味覚
を育んでいくことが重要である。一方、世界的な人口の増加、水資源の枯渇等、安定的な食料供給へ
の不安要因が拡大していることを考えると、我が国の食料自給率の向上を図っていくことが重要である
が、食の欧米化等の食生活の大きな変化が一つの要因となって、食料自給率は低下傾向にある。このため、食育の推進に当たっては、我が国の食料需給の状況に対する国民の十分な理解を促すとともに、都市と農山漁村の共生・対流や生産者と消費者との交流等を進め、消費者と生産者の信頼関係を構築すること等によって食料の主な生産の場である農山漁村の活性化と食料自給率の向上に資するよう施策を講じる。
7.食品の安全性の確保等における食育の役割
国民が安心して健全な食生活を実践できるようにするためには、まず、食品を提供する立場に
ある者がその安全性の確保に万全を期すべきことが必要である。食品を消費する立場にある者におい
ても、食品の安全性をはじめとする食に関する知識と理解を深めるよう努め、自ら食を自らの判断で
正しく選択していくことが必要である。このため、食育の推進に当たっては、国際的な連携を図りつ
つ、食品の安全性やこれを確保するための諸制度等、食に関する幅広い情報を多様な手段で提供する
とともに、国や地方公共団体、関係団体や関係事業者、消費者等の間の意見交換が積極的に行われる
よう施策を講じるものとする。
主な取り組み・・・
<地域の取り組み>内閣府HP
「福井県高校生食育王選手権」
「とくしま食事バランスガイド」
「鳥取県伝統料理の体験」
<企業の取り組み>
味の素HP
<課題>
だが大きな課題がある。それは食育の全国普及への基盤が脆弱であることである。各地域で自治体や教育機関、企業によって食育に関連する活動が見られるが全国民への食育の認知度は低い。これは基本法施行にあたり、普及のための効果的な施行細則が定められていなかったからである。だが逆に考えれば自由度が高い、と捉えることも出来る。食育を理念どおり全国規模の国民運動にしていくためには、それこそ全国規模の宣伝広告が必要である。ここにこそメディアと大手食品関連企業のビジネス機会があるのではないだろうか。メディアと企業が協力し、食育の全国普及に努めるべきである。