研究テーマ:農業の会社化

早稲田大学社会科学部2年 糸永 真志


  • 研究動機
  •   近年、日本農業の不安定さが問題となっている
    農業はまず大変な仕事である。そしてその割には儲からない。そのため日本の農業人口は 高齢化・減少していったのである。現状では多くの農産物を海外に頼ってしまっている。 このままでは、いつ私たちが食に困るかわからないのである。

    ところが「農業は儲からない」ということを改善すれば、農業は非常においしいビジネス だということに気がついたのである。まず、需要はほぼ安定しているので巨大な雇用の受 け皿となりえるのである。また昨今叫ばれている「安全で安心な食」に適うことができる。 自然の中で生きたい、という人の本能にも答えることができる。など、魅力あるビジネス なのである。

    そこで農業が儲からない最大の理由は、やはり小規模経営となってしまったからだと考え た。農地を広げ、大規模経営にするには手段は様々だが、ひとつの会社として経営する事 によって、大規模経営が可能になるのでは、と思い研究テーマを設定したのである。


  • 研究過程
  • ■第一回発表 「農業の株式会社化」

    ●株式会社化のメリット

    ・経営と所有が分離しているので、機動的・効率的な事業運営と資金調達が可能。つまり 会社を経営する人間が資金調達などをし、実際に農業をする人間が作物を作るのに専念す るという『分業化』が可能になるということなのである。
    ・新規の労働者を受け入れやすいので雇用の受け皿となる。
    ・農村地に人が流入してくるので、農村の活性化につながる。
    ・有限会社に比べ、構成員に制限がないため、規模を大きく出来る。
    ・取締役会に大きな権限があるため、会社の方針を決定しやすい。

    ●株式会社化の現状

    ・実は株式会社化は既に可能となっていたのである。
    ・2001年 農地法改正 ※改正にいたるまでの詳しい流れをいつか発表。
    ・1962年創設の農業生産法人の要件を緩和。以前は合名・合資・有限会社及び農業組合法 人のみであったのを株式会社でも可能にしたのである。

    ●株式会社参入を阻む壁

    ・一般企業が農業法人に出資する場合、出資額が25%までという制限がある。そのため取 締役会を中心とした主導的な経営が出来ない。つまり企業の思い通りの農業経営が難しく なっている。
    ・農協や農業委員会など既存団体が非協力的なため、参入が困難となっている。
    ・根本的に農業経営は軌道に乗るまでに時間がかかるため、莫大な資金がかかる。そのた め中小企業や、ベンチャー企業などが参入するのが困難になっている。

    ●発表の改善点

    ・農業の株式会社化というのは問題解決のあくまで手段である。現代農業問題とのリンク が必要。つまり、株式会社化は意味・役立つ要素はあるのか、という証明が必要。具体的 には「農業は割に合わない事業」という『常識』を覆すことである。
    ・農業の株式会社化で成功した企業の具体例が必要である。具体的には事業例・場所であ る。さらに、雇用吸収の具体例も必要である。
    ※これにはカゴメ、キューピーの例をとり発表したい。さらに一から始めた事業主の例も 調べていく予定である。
    ・「生産性が高いと社員は必要ないのではないか。」という問いへの反論証明を考える。
    ・外国での事例があれば、日本での現状を説明しやすいのではないか。


  • 章立て
  • 第一章 現在の農業ビジネスの体系
    第二章 外国の農業の現状
    第三章 日本の農業へ与える影響
    第四章 日本の社会へ与える影響
    第五章 農業はこれからのビジネスとなるのか

  • 第一章 現在の農業ビジネスの体系
  • ・どのような農業経営があるか

    家庭菜園から農業生産法人設立まで

    ・株式会社化するメリット

    ・農業の株式会社化の成功例

    カゴメ、キューピー

    ・株式会社参入を阻む壁


    Last Update:09/08/30
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