食の安全性について
政策科学研究 上沼ゼミ
早稲田大学 社会科学部 4年 川崎徳之
研究動機・研究内容
以前から日本の食料自給率が低いということは知っていたが、最近の中国産餃子の問題が起こり、このまま日本の食糧を外国からの輸入に頼るだけの状態で食の安全性を保てるのか疑問を抱いたため。
この研究では食糧自給率を上げる方法として、食品を作り出す工場(例:植物工場)に焦点を当て、その他の食糧生産力増強策との比較を通して研究をしていきたいと思う。
章立て
食料自給率
食糧を作り出す工場
農地法改正による農業の集約
第1章 食料自給率
自給率が現象の考えられる原因
自給率が下がることの問題点
異常気象・戦争等により食料の輸入が途絶える可能性がある。
第2章 食糧を作り出す工場
◎野菜工場
施設内で植物が生育できる環境を人工的に作り出し、施設内で野菜など、農業生産物を作り出す事が出来る。
特徴・要点
安定した供給が可能。
高い生産性、品質の同一化。
閉鎖空間で生産を行うため害虫や病気の発生が抑制され、無農薬での栽培が可能。そのため安全性が高い。
大企業も参加(ex.)カゴメ、キューピー、三菱化学etc…
行政の活動
経産省・農水省の共同で「農商工連携研究会植物工場ワーキングループ」を設置。
今後:政府の活動内容を研究していきたいと考える。
◎魚工場
「閉鎖循環式陸上養殖システム」
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構
特徴
クリーン
効率的な養殖生産で、安定的な養殖経営が可能
外部からの病気の侵入がなく、投薬を必要としない安全性の高い養殖が可能
今後:ある大学の研究について関心を持っている。その研究内容に関しても調査したい。
第3章 農地法の改正による農業の集約
改正農地法
施行:平成21年12月15日
目的
農地減少の抑制・農地利用の促進を通して、食糧生産の増大・食品の安全の確保を狙うもの。
背景
自作農主義による弊害
小規模農家が多いため、耕作にコストがかかる。
農業従事者の高齢化、後継者不足の為、耕作放棄地が増加。
改正後
耕作者主義
農地の賃貸契約が可能。
大規模、効率的な農業を営む事が可能。
改正により期待される効果
従来では農業生産法人等、特定の法人に限られていた農業参加が一般企業に認められる。つまり、大企業による農業ビジネスが可能になる。(農地の賃貸と使用の規制緩和)
遊休耕作地対策の強化:農業委員会が農地の利用状況を調査、指導・勧告を行う。所有者不明の土地に対しては都道府県知事が認定する団体が利用可能となる。
農地転用規定の厳格化、違反者に対する罰則の強化。
外食産業の農業参入
(日経新聞2009年度飲食業調査)
外食企業45社が農業に参加、若しくは参入の意向。
例
居酒屋3位コロワイド(甘太郎等)
はなまるうどん:ネギの開発
力の源カンパニー(一風堂):傘下に農業生産法人
疑問点
大企業の農業参入により、個人経営農家の保護の必要性があるのではないか。
日本企業の農業ビジネスは海外の輸入との競争に対抗する事が出来るのか。もし競争に負けた場合、撤退が相次ぐのではないか。
本当に農業の大規模経営は可能なのか。
今後の課題
今後は食糧を作り出す工場に焦点をあて、食の安全を高めるために安全な食品生産を行う手段について研究していきたい。そこで今回の農地法改正のように、国内における食糧生産状況の改善に関するトピックと比較を行い、よりよい食糧生産を行うにはどうすればよいのか研究していきたいと考える。
Reference List
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