早稲田大学社会科学部
政策科学研究
上沼ゼミナールⅢ 4年 舒 寧


エコカーを普及するためには如何なる国家政策が必要か


研究動機:

 出身地の長春にある「第一汽車《という地元企業は、国有メーカーとして中国最初の自動車メーカーであり、現在中国国内最大のメーカーである。フォルクスワーゲン(VW)、トヨタ、マツダ等と提携し、各社の車両をベースにした車種も製造している。しかし、世界最大の自動車販売市場となった中国には、自動車メーカーが大小100社ひしめく。だが、いずれも独自開発力を発揮する技術的蓄積を長らく欠いてきた。
 21世紀に入ると、自動車業界は脱石油世紀への転換に迎え、100年一回の変革を行われている。中国はモータリゼーションを実現するために、如何に自動車産業を振興するのかは、今後の最も重要な課題になっている。
 私は日本で留学しているからこそ、日本の最も強い自動車業界について研究する価値がある。研究によって、中国自動車産業の上振の理由と解決方法を探し、エコカーを普及するための国家戦略を考えようと思っている。

章立て:

第一章:中国自動車産業現状
第二章:世界自動車産業の動き
第三章:中国自動車産業の問題
第四章:今までの中国自動車政策とその効果
第五章:今後への政策提言
付録:長春と第一汽車の歴史

第一章:中国自動車産業現状

♥第一節:海外メーカーの参入


 中国既存の国有メーカーは資金力、技術力、或いは開発力、運営管理力の面から見ると、海外の大手メーカーと大きなギャップがある。それで、自分の欠点を補い、市場での競争力をアップするためには、海外のメーカーと全面的に提携しなければならない。
 その結果として、中国の自動車市場は海外の大手メーカーは主導することになり、中国の国有メーカーは開放された市場の追随者となっている。中国市場はむしろ海外メーカー間の競争となっている。

♥第二節:民間メーカーの台頭


 中国には沢山の民間メーカーが存在している。その代表として有吊なのは深圳市の比亜迪汽車、浙江省の吉利汽車等である。

民間メーカーと国有メーカーの比較

民間メーカー 国有メーカー
機能 多い 少ない
値段 国有メーカーより20%~30%程度安い 高い
品質 あまり問題がない あまり問題がない
部品 民間メーカー向けの高質な部品を提供されている 技術力が弱い、且つ製品の付加価値が低い
技術 エコカーの技術発展が先に進んでいる 海外メーカーに従属する

♥第三節:価格競争から総合力競争へ

 2001年、中国の自動車メーカーはほとんど国有メーカーでしたが、2009年になると、その市場の仕組みを変わってきた。国有メーカー、民間メーカーと株式会社、多国籍企業との合資企業の三つに分け、市場の三分の一ずつ占めるようになっていた。要するに、発展している中国の自動車市場は激しい価格競争の時代に迎えていることが分かった。しかし、より成熟な自動車市場になるためには、先進国見たいに企業の総合力をもっと重視しなければならない。つまり、経営管理の仕組みを改善し、技術力を高め、サービスを強化する等に力を入れなければならない。

♥第四節:集団消費から個人消費へ

 中国は2007年の自動車販売台数が879万台に達成し、世界第2位の自動車市場トなっていた。2009年、中国自動車市場は販売台数1300万台を突破し、アメリカを抜き世界最大市場に躍り出た。このような市場の拡大を支えているのは、国営企業や行政機関による自動車の購入ではなく、一般の個人消費者によるものである。自動車販売量の増加の一つの理由は、生まれてから初めて車を買う人が増えてからである。 自動車は生活必須品になり、どの家庭でも1台があることは今後の趨勢になっている。2000年の統計によれば、個人消費は中国自動車消費の全体の25%に過ぎなかった。2008年6月、自動車の個人消費台数が3885.3万台に達成し、中国自動車消費船体の63.46%になっていた。
 個人消費者と集団消費者の根本的な違いは、前者の価格に対する敏感さが後者よりもはるかに高いことである。しかし、集団消費は従来の統一購入から補助金を配るようになったので、実際に個人の好みで車を購入することになっている。その変化により、集団消費者も価格を重視するようになっている。

♥第五節:見込み生産から個別受注生産へ

 個人消費のシェアが増えたからこそ、消費者ニーズの多様化と個性化が顕著になっている。自動車メーカーが市場で生き残るためには、そのニーズに応えた商品を提供するべきである。つまり、生産技術、価格、品質、機能、デザイン、サービス等、消費者が感心するすべての要素を重視しなければならない。しかし、従来の見込み生産はその多元な市場ニーズに合致しない。その情況を改善するため、中国メーカーはこれから個別受注生産に転換すべきである。

第二章:世界自動車メーカーの動き

♥第一節:自動車業界の危機

 世界はもっともいずれ化石燃料が枯渇すれば、既存のガソリン車は残れない。しかも、ガソリンの値段が高騰し、車の維持費も数年前に比べるとかなり高くなっている。更に、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素は増加しつつ、このままガソリン車を使用すると、大変な環境問題になる。つまり、資源、経済、環境のいずれの方面から見ても、自動車業界は行き詰まる状況になっている。
 それを変わるためには、これから自動車業界はエコカーを作るべきであることはいうまでもないだろう。

♥第二節:エコカーとは

 エコカーとは、「エコロジーカー《の略である。いわゆる大気汚染物質(窒素酸化物や一酸化炭素、二酸化炭素など)の排出が少なく、環境への負荷が少ない自動車のことを指す。
 エコカーの種類を大きく二つに分けると、低公害車と無公害車がある。低公害車といのは、温室効果ガスを大幅に削減した車のことを指す。ハイブリッド車はその中の一つである。それに対し無公害車というのは、まったく温室効果ガスを排出しない車のことを指す。代表的には、電気自動車という車がある。このようなエコカーにすると、二酸化炭素の排出量がぐっと減るため、温室効果ガスを出すことなく、省エネ効果が高まることができる。

低公害車と無公害車の比較
車種 概要 長所 短所
ハイブリッド車 ・エンジンとモーターの併用
・電池は走行時のブレーキ操作で発生した
 エネルギーや発電機の駆動で充電
①充電は上要
②燃費がよい
③CO2排出量が少ない
①エンジンを使うので、排ガスは発生
②コストがガソリン車よりも高い
電気自動車 ・電池に蓄えた電気が動力源
・エンジンはなく、モーターで駆動
①排ガスはゼロ
②走行音は静か
③燃料代(電気代)がとても安い
①1回の満充電での走行距離は短い
②電池のコストが高い

写真:1km走行当たりCO2総排出量(CO2排出量では電気自動車が優位)


 しかし、エコカーは環境問題に対して、課題も残っている。エコカーを使っている電池やモーターは希少金属(レアメタル)や希少土類(レアアース)を原材料としており、それらの採掘・加工から部品製造に至る環境負担はガソリン車よりも多くなる。また、石油の代わりに天然鉱物を活用していくことは、将来の地球にどんな影響を受けるのかまだ疑問されている。

♥第三節:国別のエコカー戦略

一、日本

(一)電動化目標と振興策

♣電動化目標:

 経済産業省は2010年4月12日、「次世代自動車戦略2010《を公表した。その中には、2020年までの環境対応車の普及目標なども盛り込んだ。2020年の国内新車販売台数に占めるエコカーの販売台数を最高で50%と設定している。
 この目標を達成しようとすると、販売台数が比較的多い、軽自動車や小型車に相当する車種で、50%以上の台数をエコカーに置き換える必要がある。つまり、比較的価格の低い車種でエコカーを積極的に導入することが求められる。

♣振興策:

(二)エコカーにおける日本の企業別戦略

ハイブリッド車(HEV)開発優先戦略を選んだ企業
企業(車種) 動き
トヨタ(プリウス) 2009年2月、本体価格200万円を切って発売
2010年に「CR-Z《「フィット《のハイブリッドモデルを発売予定
ホンダ(インサイト) 1997年、世界初の量産ハイブリッド乗用車として発売
2009年3月末時点で、累計販売台数125万台突破
今まで全部四系列で販売されている
マツダ トヨタがハイブリッド車の基幹装置を供給し、2013年発表をめざす
日産 2010年度に日本及び北米で高級車「フーガ《のハイブリッド車を発売予定

トヨタとホンダはハイブリッド車を選んだ理由:
 実は、両社とも電気自動車を生産販売したことがある。しかし、たくさん販売されなかったので、結局やめてしまった。電気自動車は航続距離が短く、充電に時間がかかり、充電できる場所が少ない等の欠点がある。また、高価な上にガソリン車に比べまだ使い勝手が悪いから、現時点ではハイブリッドはもっと市場に適合であることを判断した。

電気自動車(EV)開発優先戦略を選んだ企業
企業(車種) 動き
富士重工業(スバルプラグイン・ステラ) リチウムイオン電池で約90km走行可
100V(満充電約8時間)または200V充電(約5時間)
本体価格472万5000円
三菱自動車工業(i-MiEV) リチウムイオン電池で約160km走行可
100V(満充電約14時間)または200V充電(約7時間)
本体価格459万9000円
日産(リーフ) 2010年度に日本及び北米で電気自動車を発売予定
トヨタ 1997~2003年の間、RAV4の電気自動車版であるRAV4-EVを販売した
2012年までに米市場に電気自動車を投入予定
ホンダ 1997~1999年の間、リース販売というかたちでEV Plusという小型ハッチバックを販売した
2010年前半に電気自動車を発売予定

富士、三菱と日産は電気自動車を選んだ理由:
 ハイブリッド車などという中途半端なものは主流になり得ないと思って本気で開発しなかった。また、 先行者であるトヨタの山のような特許をかいくぐることは難しい。(特許料を払ってたらいくら売っても儲からない。)

二、アメリカ

三、ヨーロッパ

四、国連

まとめ

 調査会社の富士経済が2009年5月に発表した調査によると、ハイブリッド車の世界販売台数は2020年に、08年の7.6倊の375万台に達すると予測する。一方、電気自動車は、充電1回当たりの走行距離が限られることや充電設備の普及なども課題となっており、20年になっても13万5000台にとどまると予測している。


参考文献:

第一章

第二章


Last Update:2010/8/5
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