爆発的に普及したインターネット。日本国内の利用者数は約8800万人、人口普及率が69%(いずれも2007年末時点)に達した。それを利用するためのブロードバンドサービスは、多くが定額料金制で使い放題。それに伴い、ネットを利用したサービス(youtube、ニコニコ動画、クラウドサービス)も激増した。 しかし、ネット上でやりとりされる情報量が増加すれば、通信インフラ(光回線等)においても、より多くの設備投資を必要とする。通信インフラの設備投資規模の格差から、都市と地方の間に情報格差が生じている。
●自治を促すために総務省含め政府が何をすべきか を研究するものとする。なぜ地方自治なのかは後述。
●都市部
・ブロードバンドサービス普及率は77%(うち光回線の普及率は44.3%)NTT回線収容局が多いことから、たとえADSL回線であっても回線速度が落ちることはない。
●東北
・ブロードバンドサービス普及率は53%(うち光回線の普及率は30%)
ADSL回線利用率が19%と全国で最も高い。これはいまだに電話回線から光回線への移行が進んでいないことを示す。
このことによって両者の間に回線速度・情報品質の格差が生じる。
※ADSL回線・・・NTT回線収容局から利用世帯までの距離が遠くなればなるほど信号が弱まる。つまり、収容局からの距離に応じて情報品質や回線速度が落ちるということ。都市部のようにNTT回線収容局が多数存在する場合はこのような問題は生じない。
※光回線(FTTH)・・・電話回線とは別に光回線を利用する。距離による回線速度の変化がない。
近年では行政機関のオンラインシステム、学校教育や就職活動、情報系を中心とした各種産業においてブロードバンドへの依存度が高くなっている。町・村や離島の役場におけるオンラインシステムや学校のカリキュラム遂行に支障が出たり、就業機会に影響が生じる恐れがある。
=具体例=
・動画読み込みが遅く、オンデマンド授業に支障
・ファイルアップロードに時間がかかるなど、情報の双方向性を失う
・ネット確定申告等のようなサービス利用にも難がある。
・災害時等における迅速な情報伝達が不可能
=ユニバーサルサービス制度(光の道政策)= by総務省
・NTT東日本、NTT西日本だけでは地方までブロードバンド化(主に光回線化)するコストを負担しきれないことから、NTTが整備した回線を利用してサービスを提供する民間通信事業者(KDDI・ソフトバンク等)は各自の利用分(利用世帯数)に応じてコストを負担するという制度。
※当初は電話回線の全国普及を目的としたものであったが、時流に沿って「電話回線の全国普及」→「IP電話の全国普及」→現在では「ブロードバンド(ネット回線)の全国普及」へと目的が移行していった。
=ユニバーサルサービス制度の弱点=
・回線の設備投資はNTT任せとなるため、普及に時間がかかる。また、需要に応じて設備投資していくため、基本的には過疎地域は切り捨てる考えに基づいている。
・相変わらずNTTのコスト負担分が大きい。かといって、これ以上民間通信事業者に負担を求めれば事業者の経済活動を阻害しかねない。
そこで、各自治体で通信インフラの設備投資を行おうという動きが見られるようになった。
=島根県によるIT構想実現=
21世紀において豊かな地域社会を築くためには、全ての県民、県・市町村、企業・商工団体、 高等教育機関・研究機関などが相互に協力・連携し、健全で豊かな高度情報社会の創設に向けた明確な展望を持って、 新たな社会環境を創造する新しい力を育てることが必要だと考え、いちはやく通信インフラ整備を自治体で実施した。
=その具体策=
・行政が自ら情報通信基盤の設置管理を行う「自営線方式」ではなく、民間通信事業者による積極的な設備投資の誘導に徹した。
通信需要が乏しいと考えられがちな過疎地域や離島にも民間通信事業者による設備投資を誘致し、提供された設備を行政・産業をあげて積極利用し、需要を増やす。
これにより民間通信事業者によるさらなる設備投資を促すことが可能となる。
離島や過疎地域に観光開発を促し、ホテルや産業施設・公営施設を開発し、IT需要を生むことで、民間通信事業者の自発的な設備投資を促した。
都道府県別ごとに、
・行政が一貫して通信設備の設置・管理するコスト
・民間通信事業者の自発的な通信設備投資を促すために必要なコスト
この2つを比較し、各自治体の予算やその他特性(風土等)から判断してどちらか最適か検討・選択させたうえでの行政による資金援助が必要
・ソフトバンクのかかげる理想
・自治体によるIT設備投資の失敗事例はないのか
・政府の対応は?
技術的方策よりも、自治体と政府が担うべき役割と具体的政策を導き出すものとするが、特に、政府による『自治体によるIT戦略』を促すための政策についての研究に焦点を絞るものとする。
=ベライゾンがスマートフォンの通信料金を従量制に、爆発するトラフィックによって定額料金が破綻=(2011年07月08日)米ベライゾン・ワイヤレスは7月7日より、スマートフォン向けのデータ通信プランで定額料金制を廃止し、すべて従量課金へと移行した。新しい料金プランでは、最低料金だと転送量が2GBの30ドルとなり、これを越えた分については1GBごとに10ドルとなる。ヘビーユーザーに対しては、5GBまでで50ドル、10GBまで80ドルという、上位プランも用意されている。米国ではすでにAT&Tが定額制を廃止し従量課金制へと移行していたが、ベライゾンがこれに追従したことで、米国ではワイヤレス通信の定額制廃止の流れが決定的になった。ワイヤレスに限らず通信全般は定額制となったことが、普及する上で大きな要素となった。しかし、映像コンテンツの増加と高解像度化、バックグラウンドで通信が頻発するスマートフォンの爆発的な普及によって、通信トラフィックが急速に増大している。日本では現在、キャリア間の料金競争が活発だが、端末のスマートフォン比率が高まることによる、トラフィック増加に各キャリアは悩まされている。特に3G回線は電波帯域がひっ迫しており、LTEやWiMAXなどの次世代規格やWi-Fiへのトラフィックを分散させようとしている。しかし、ワイヤレス通信回線の整備には莫大なコストが掛かるため、日本でも定額料金を見直す気運が今後高まっていくと思われる。
(DigitalToday 青山 祐輔氏)
これは、あまりに通信情報量が増えすぎたがために設備投資に多額の費用を要し、それに応じて安価な料金設定が難しくなった例である。
日本においてもスマートフォンが爆発的に普及しているが、いずれは通信料金を従量課金制にせざるを得ない事態にまで発展するのではないか。
Last Update:2011/7/23
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