政策科学研究 上沼ゼミナールV
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研究テーマ〜:フェアトレードについて
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〜研究動機〜
経済に焦点を当てると浮かび上がってくる問題が貧困と格差です。
経済のグローバル化によって世界人口の所得は増大したのですが、人口の約20%の人が1日1ドル以下の生活を強いられています。。
この問題を解決するアプローチの一つとしてフェアトレードが注目されてきています。
そこでフェアトレードの仕組みについて研究していきたいと思います。
〜章立て〜
- 第1章:フェアトレードとは
フェアトレードとは途上国の原料や製品を、適正な価格での継続的な購入を通じて、立場の弱い人たちの自立と生活を改善することを目指す取り組みです。
フェアトレードという単語を日本語訳すると「公平な貿易」、またの名を「オルタナティブトレード」と呼び、つまり「もう一つの貿易」を意味します。
この「公平」という観点から現代の私たちの周りで行われている自由主義貿易の問題点を指摘していきたいと思います。
- 第2章:フェアトレードに対する批判(市場原理主義の考え方)
フェアトレードは自由主義貿易と比べると保護貿易の要素を持っており市場原理主義を信奉する人々から批判を受けがちです。
その批判とは、経済はすべての規制を取り払い、干渉が少なければ少ないほどよい。
そうすれば、いわゆる「神の見えざる手」が働き、効率化する。
よってフェアトレードのように需要供給を無視した人為的な価格設定は間違いである。といったものです。
この理論は一見するとまともに聞こえるが、そこには大きな落とし穴があることを次章で解説します。
- 第3章:神の見えざる手は本当に働いているか
神の見えざる手という言葉を生んだアダム・スミスは著書の「国富論」の中でこう述べています。
「利己的な経済活動は、市民の公共のチェックを得てはじめて正当化される」
「市場に参加する者の行動が、慎重と正義の限度内に止めおかれる場合に限り、企業の利潤最大化行動に見えざる手が機能する」
上記2点の条件を現代的に解釈すると、途上国のコーヒー農家と先進国の多国籍企業の間において情報や市場や資本へのアクセスが平等であるかということです
また、その関係が搾取となっていないかも慎重と正義の観点から挙げられます。
上記のことが守られていない現代の自由主義貿易は市場原理主義が成立しておらず、神の見えざる手ではなく悪魔の見えざる手が働いているのではないでしょうか。
- 第4章:フェアトレードを普及させるには
フェアトレードを普及させるには3点の要素が挙げられます。
1点目は品質等の問題点の解消です。
フェアトレード製品は手作りが多く、大企業のマニュアルやライン化された工場で生産された製品と比較すると粗があり改善する必要があります。
2点目はCSRのとらえ方です。
CSRを企業の社会的貢献から、事業を根幹から見直し責任ある企業運営をするというより厳しい考え方でとらえる必要があります。
このとらえ方が根付けば企業もフェアトレードにより関心を持つでしょう。
3点目は我々消費者が正しくフェアトレードを理解することです。
日本ではヨーロッパほどフェアトレードが根付いておらず消費者もフェアトレード製品を購入する際ボランティア的な考えで購入する人も多数います。
あらゆる業界で価格競争が進み消費者は手軽に物を手にする時代になりました。
しかしそこには持続的発展の可能性はあるのか企業も消費者も考える必要があるでしょう。
参考文献
Last Update:12/8/5
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