東京一極集中問題について
上沼ゼミⅢ
社会科学部4年
三好 和真
研究動機
動機としては、小さい頃から今まで自分が感じてきたいろいろな疑問などが組み合わさったものだと思う。
まず、自分自身が関西出身であり、大学生になって上京してきたと言うこと。日本では自分に限らず全国から若い人が多数東京に出て進学・就職するのが当たり前の仕組みになっているが、どうしてなのか?他にも日々東京で生活していて、なぜこんなに人が多いのか?、電車が混んでいるのか?、車が渋滞しているのか?等色々感じていた。一方で田舎では若者がいなくなっていると聞く。
そして、今回の東日本大震災により、防災の面から考えても、さまざまな機能が東京に集約されていることは危険だと考えるようになった。
一極集中とは?
「東京一極集中《とは、日本において、政治・経済・文化・人口など、社会におけるあらゆる資本・資源・活動が首都圏(特に東京都)に集中している状況を言う。
日本の人口がついに本格的な減少傾向に入った中、東京都を中心とする南関東一帯だけが人口増加を続けると言う「いびつ《な事態。下グラフを参照。
一方地方は
過疎化が進行し、人口の減少が止まらない。若者の都市への流出限界。集落の存在
なぜ過密はおきるのか
そもそも日本は、国土が山がちであり、貿易立国であるため、放っておいても沿岸部や平野部に人口が密集する。→太平洋ベルトと裏日本
中央リニア新幹線
中央リニア新幹線の着工が正式に決定した。これによって、東京吊古屋間が40分で結ばれることになる。しかし、これによって吊古屋が東京の通勤圏になり、ますます巨大な関東に経済的に吸い取られてしまうのではないか。
東京オリンピックの開催決定
2020年に、東京でオリンピックが開催されることが決定した。これを機に、国の予算配分が集中し、さらに東京一極集中が強まるのではないか。前回(1964年)のオリンピックは日本全体が高度成長期であり、東京だけでなく日本全体がオリンピックの恩恵を受けることができた。(オリンピック景気)
首都高速道路などのインフラ整備の一方で、東海道新幹線や吊神高速道路など、首都圏以外への交通網の建設もきちんと行われた。
コンパクトシティ
コンパクトシティとはとは、都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、もしくはそれを目指した都市政策のことである。
わかりやすくいうと、過疎化した郊外は捨てて、駅前の都心部を再開発する!
自分の意見
これからのグローバル化に対抗できる「世界都市東京《を作り上げることと、東京の過密を抑制し地方を再生することつまり国土の均衡ある発展を図っていくこと、は決して相反することではない。両方を達成することは可能である。
一極集中の弊害
- 殺人的な通勤ラッシュ
- 劣悪な住宅環境。高い家賃
- 慢性的に渋滞する道路
- テロや戦争などの大規模な争乱が発生すると、日本の首都機能が破壊されるという危険をはらんでいる
- 歴史的に見ても首都圏は大地震(南関東直下地震)が起きる可能性が非常に高く、今後30年以内に発生する確率が70%とされていたが、東北地方太平洋沖地震によって誘発される危険性が高まったとされる。なお、首都圏がある南関東はプレートの境界線に位置するため房総沖や相模沖(関東地震)など巨大地震の巣窟となっている。
- 東京圏に人・モノ・資金・情報・サービス・機能・娯楽が集中することにより、東京圏以外は経済的に衰える地域が多い。
- 待機児童の問題 →決して保育所・保育士の総数が足りないのではない!地方では余っている。
一票の格差の問題
区割りをいじって果たして根本的に解決するのか?東京都の選挙区→25「しか《ない。千葉県の選挙区→13「しか《ない。人口が偏在しているのが根本的問題ではないのか?
首都直下地震地震
首都圏直下地震が起こったとき、東京は壊滅的な被害を受け、国家機能が麻痺する可能性がある。首都機能の分散の必要。かつて日本にも遷都の議論があった
各国の政策
- アメリカ合衆国 :アメリカ合衆国では元々国の成り立ちもあって都市ごとに機能が分担されている。首都のワシントンD.C.を始めとして各州の政府所在地は必ずしも州内最大都市とは限らない。国家の中心地を見ると政治がワシントンD.C.、経済がニューヨークとなっているが、ニューヨーク州の州政府はニューヨークではなくオールバニに置かれている。
- ブラジル:ブラジルではサンパウロとリオデジャネイロの両市の過密が問題となったことから1960年代にアマゾン内陸部に新首都ブラジリアを建設した。
- オーストラリア:1901年にイギリスから独立した際にシドニーとメルボルンで首都の位置争奪による対立が起きたが中間地点のキャンベラに首都を置くことで終息した。
- 南アフリカ共和国 :都市機能分散の象徴として、三権を3つの都市に分散して置いている(行政府はプレトリア、立法府はケープタウン、最高裁判所はブルームフォンテーン)。
- ドイツ連邦共和国 :ドイツ再統一に伴い、連邦政府の首都をボンからベルリンに戻す決定がなされた。この際、すべての首都機能をベルリンに集約するのではなく、連邦政府の各省庁について母体の配置をベルリンとボンに振り分け、その上で各省庁の内部部局をそれぞれの性格によって、ベルリンヘ置くものとボンヘ置くものに分けるという「混合モデル《と呼ばれる方法が採用された。
- カナダ :トロントとモントリオールが国内の2大都市であるが、両大都市の中間地点にあるオタワに首都を置いた。
韓国の取り組み
世宗特別自治市(セジョンとくべつじちし、韓国語:???????)は、大韓民国中部に位置する特別自治市である。特別自治市の区域は面積465km2、計画対象区域は面積73km2。忠清南道(チュンチョンナムド)旧燕岐郡全域に同道公州市の一部と忠清北道(チュンチョンプクト)の一部を合わせて2012年7月1日に発足した。特に韓国は、朝鮮戦争(1950-1953)で北朝鮮にソウルを占領されたという苦い経験から、「国防《の観点からも首都機能の分散を進めている。それなら日本は、地震という「防災《の観点から分散均衡を進めるべきである。
今後の研究について
東京の過密対策を自分でも調べて考える(遷都、道州制なども検討)。
首都圏の過密の解消から地方の活性化へと話をつなげ、各国の政策の具体的研究。また、近年議論が活発になっている「副首都構想《(遷都を行うのではなく、首都は東京という状態を維持したまま、大阪に政府機能のバックアップを取る)についても掘り下げる
参考文献・リンク
Last Update:2014/08/08
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