高校時代、聖書の授業で児童労働に関するDVDを見たことから児童労働に興味を持ちました。
例えば、私たちが日々口にするチョコレートの原材料であるカカオ豆の8割はガーナ産で、ガーナでは14歳以下の子供のうち2人に1人が働いているという事実があります。私は、当時同年代の子供が学校に行けず働いていることに心を痛めました。
例えば、2004年の日韓ワールドカップで使用されたサッカーボールは、児童労働を利用して作られたことが問題になりました。私の住む国の娯楽を、遠い国の自分より小さい子供が支えていることに違和感を覚えました。
日本に住む一人として、無意識に児童労働商品に触れてしまうことの恐ろしさを感じ、フェアトレードにも興味を持ちました。しかし、研究を進めるうちに児童労働問題は、一筋縄ではいかない問題であると痛感しました。卒論研究では、手段にとらわれることなく、根本的な問題解決ができる方法を政策提言したいと思います。
A教育の質と児童労働の相関関係
・初等、中等、高等教育への総就学率と、児童労働力参加との間には、相関は全くない。
・教師一人当たりの生徒数が少ないほど労働力参加率が低くなる。
つまり、教育の質が児童労働を左右する。
出典:中村まり・山形辰史(2013)『児童労働撤廃に向けてー今、私たちにできることー』
BGDPと児童労働との相関関係
・一人当たりのGDPの増加が著しい国 (=経済成長した国)であっても、一番労働参加率が低下した国というわけではない。
つまり、経済成長したからと言って児童労働がなくなるわけではない。
出典:中村まり・山形辰史(2013)『児童労働撤廃に向けてー今、私たちにできることー』
義務教育を妨げる労働に従事している子どもは全世界でおよそ2億1800万人おり、そのうち1億2600万人は危険労働に従事している。
この最大の原因が「貧困」であることは間違いないが、単純なお金の問題ではない。
社会インフラが整っていないことによる時間の浪費や、法規制の不完全さ、途上国に不利な貿易体制、習慣による教育への関心のなさなどが具体例として挙げられる。
これらのことから、目の前の「生活費」を工面しなければならないことから、現状維持の日々を送ることしかできず、児童労働の現実から脱却することができない悪循環に陥っている。
《メリット》
・数多く存在する仲介業者(金貸し、代理人、包括業者、在庫管理人など少なくとも12以上)からの搾取を防ぐことができ、「公正な」価格の支払いが行われること。
・貯蔵制度や、健康保険、産休のための保険制度の整備も同時に行われること。
《デメリット》
・商品を発注する時点で生産者に代金の50%を前払いし、発送された時点で残りの代金を支払うという「ソーシャルプレミアム支払い制度」が存在するため、フェアトレード発注業者は最終消費者から売り上げを回収する前に生産者団体に支払わなければならなく、資金繰りに苦労がつきもの。
→国を挙げてフェアトレードに取り組んでいるにも関わらず、生産者の生活に改善が見られないのは、他に何か原因があるのではないか。
児童労働に関わらず、先進国における困難な状況は個人間の支援から企業・政府主体の支援へ移っていった。
しかし、国外に対する支援は、企業や社会運動家による支援はあるものの、逆に個人レベルで関わることができる機会は全くと言っていいほど存在していなかった。
昨今、我々の日常からグローバルな社会問題に対して支援できるルートが作り出され、世界各地で急速に広まりつつある。
「ファンケルフェアトレードフーズ」
年間売り上げの5%をソーシャルプレミアム(奨励金)として、商品の原料購入国である4か国「インドネシア」「ラオス」「セネガル」「カンボジア」の子どもたちの成長を支援する活動団体(後述)へ寄付。
・一般財団法人あいあいネット:子どもたちが地域の植物を知らべ絵本にする活動
・特定非営利活動法人ラオスのこども:ラオス語の本の出版や配布、読書の普及活動、子どもが集い学べるセンターの設立
・バオバブの会:教科書や教具、文房具の購入、教室増設など教育環境の改善。図書館の建設、障がい児への支援などのほか、セネガルと日本の小学校の交流活動
・特定非営利活動法人かものはしプロジェクト:子どもの人身売買を無くすための活動
期間限定で実施する店頭イベント「スイーツ フェア」での売り上げの一部を、ACEがガーナのカカオ産地で実施する、子どもたちを児童労働から救い教育を支援するプロジェクトの活動資金として提供
【名称】スイーツ フェア
【開催期間】2018年2月8日 (木) から3月14日(水) まで
【開催場所】全国のイケアストア(* )内「イケアレストラン&カフェ」
*ただし、IKEA Touchpoint 熊本を除く
森永「1チョコfor1スマイル」〜あなたが食べるともう一人が嬉しい〜
キャンペーン特別月間の期間中、対象商品1箱につき1円が寄付として積み立てられ、支援パートナーであるプラン・ジャパンとACEの二団体へ配分される。
ACEでは「スマイルガーナプロジェクト」という、カカオ生産地での危険な児童労働から子どもを保護し、修学を徹底するための取り組みが行われている。
Table For Twoプログラムは伊藤忠商事/日本IBM/グーグル株式会社/フジテレビ/ANA/資生堂/NHK/明治大学など、360団体以上が実施している
食事の心配をすることなく学校へ通うことができるようになることを目的としており、対象となる定食や食品を購入するごとに、1単位当たり、20円が開発途上国の学校給食へ寄付される仕組み。
出典:EMERALD WEB
・多くの支援が存在するものの期間や地域の差だけでなく、支援対象も多岐にわたり支援の濃度が薄まっていることから、非効率的になってしまっているのではないか。
・日常からできる支援が広まっているという実感が我々消費者に存在していないことから、未だ我々が支援できる環境が整っていない。
・カカオ農家の利益が中間業者の存在や、生産性の伸び悩みから改善されないままになっている
未だ参加することに意義を見いだせない人や、実施されていない地域が存在する
農家間の意見交換ももちろん必要だが、専門家を主体としたより生産性を高められる機会にすることで取り組みの質を向上させ、参加意欲も向上させることができる。
例
・農薬を用いて農園の状態を改善する
→文字の読み書きができないことから、経験から農薬を使用していることが想定される。科学的に最適な農薬の使用方法を提案することで生産量を向上させる
・発酵方法の研究の援助
→現在の主な手法はバナナの葉でくるむか、木箱に入れておくものがある。これに対してより短時間で発酵が終わる手法を提案する
・効率的な乾燥方法の提案
→特定の土地に並べたり、道端に並べたりするのが主な手法となっているが、より素早く均一に仕上がる方法を提案する
・品質基準を達成できるかどうかの経過確認
→出荷時に品質が基準を満たしていないことで見込まれた収入が低下してしまうことを防ぐ
TFTプロジェクト
2,300(人)×20(円/食)×244(平日)=11,224,000円(概算)
1チョコfor1スマイル
総額146,620,000円
支援内容
・すでに行われているTFTプログラムを拡張し、学校給食だけでなく、配給を行うことで農家のエンゲル係数を下げる
・生産されたカカオの輸送に必要な費用の負担を行い、出費を抑える
・カカオ豆の加工に必要な器具および土地の援助
・フェアトレード等の必要初期投資の援助